西 塔

 西塔は、美しい杉木立の間にあって心静まる場所です。第2世天台座主寂光大師・円澄によって開かれました。
 本堂にあたる「釈迦堂」を中心に、「浄土院」・「にない堂」・「椿堂」など、修行するための建物が多く点在します。
 また一般者向け修行体験道場「居士林(こじりん)」があり、日帰り・一泊二日・二泊三日のコースから選択できます(要予約)。

釈迦堂(転法輪堂)

 西塔の本堂にあたるのが、この転法輪堂です。一般にはご本尊の釈迦如来にちなみ、釈迦堂の名で知られています。
 現在の釈迦堂は、延暦寺に現存する建築中最古のもので、秀吉が文禄四年(1596)に三井寺の園城寺の金堂を移築したもの。重要文化財に指定されています。

浄土院

 伝教大師の御廟がある浄土院は、弘仁13年(822)6月4日、56歳で入寂された大師の遺骸を、慈覚大師が仁寿4年(854)7月にここに移して安置した場所です。東塔地域と西塔地域の境目に位置し、所属は東塔地域になります。
 現在も侍真制度による「十二年籠山行」が続いています。

椿堂

 昔、聖徳太子が入山したおり、杖にしていた椿の枝をさして帰ったところ、椿が根をおろし、辺り一面に枝を伸ばし花を咲かせたたというのが名前の由来。本尊は千手観音を祀ります。

常行堂・法華堂(にない堂)

 同じ形をしたお堂を渡り廊下が繋げています。正面向かって左が常行堂で、阿弥陀如来を本尊とし常行三昧を、右が法華堂で普賢菩薩を本尊とし、法華三昧を修行します。力持ちの弁慶が渡り廊下を天秤棒にして二つのお堂をかついだという伝説から、にない堂とも呼ばれています。国重要文化財に指定。
※にない堂は内部非公開です。

瑠璃堂

 釈迦堂から黒谷に下る途中にあり、信長の焼き討ちをのがれた唯一の建物です。本尊には薬師瑠璃光如来が祀られています。室町末期の建築様式を伝え、三間四方、正方形の入り母屋造りで、比叡山では珍しく唐様を主にした建築です。